オフィスの生産性を高める要素として見落とされがちなのが「音環境」です。電話の通話音、キーボードの打鍵音、会話のざわめきなど、さまざまな雑音が飛び交う空間では、集中力が削がれ、ストレスの原因となることもあります。こうした問題に対して注目されているのが、防音パネルと吸音性に優れた家具の活用です。今回は、静かで快適なオフィスを実現するためのアイテムや配置の工夫、防音環境の整備例をご紹介します。

なぜオフィスに静音対策が必要か

雑音がもたらす集中力の低下

オープンオフィスでは、複数の会話が重なったり、複合機や電話の音が絶え間なく響いたりと、音のストレスが常に存在します。こうした環境は、作業効率を下げるばかりか、社員の疲労感や不満を生む原因にもなります。

ハイブリッドワーク後の“音ギャップ”

在宅勤務に慣れた社員にとって、オフィスの雑音は以前よりも強く感じられるようになりました。静かな空間が当たり前になった今、オフィス側も音環境の改善が求められています。

防音パネルの種類と設置ポイント

吸音と遮音、それぞれの特徴

防音パネルには大きく「吸音」と「遮音」の2種類があります。吸音パネルは音の反響を抑え、室内の会話や機械音をやわらげる効果があります。一方、遮音パネルは音が他の部屋やゾーンへ漏れるのを防ぎます。用途や目的に応じて使い分けることが効果的です。

壁・天井・卓上への応用例

壁面や天井に設置する大型パネルに加え、デスクの間仕切りとして使える小型パネルも人気です。特にフリーデスクや集中ブースでは、簡単に取り付け可能な自立型パネルが重宝されています。

家具による“音を吸収する”空間づくり

ファブリック素材の家具で吸音効果を

吸音性の高いソファ、パネル一体型のブースチェア、布張りのローパーティションなど、家具そのものが音を和らげる役割を果たす製品が増えています。機能性とインテリア性を兼ね備えているため、違和感なく空間に溶け込みます。

家具配置でも防音性が向上

吸音家具は配置場所によって効果が変わります。例えば、通話の多いエリアの背後にソファを配置したり、出入口付近にパネル型チェアを設置することで、音漏れや響きを軽減できます。視覚的な区切りにもなり、空間に落ち着きを与えます。

静音オフィスを定着させる工夫

導入事例：集中ブース×防音壁パネル

あるIT企業では、集中作業用エリアに壁面吸音パネルとブースチェアを導入。雑音が軽減され、作業効率が上がったほか、自然と声のボリュームを抑える文化が根づきました。環境改善と行動変容を同時に促す好例です。

音のマナーとゾーニングもセットで

設備面の整備に加え、「通話ゾーン」「静音エリア」などのゾーニングと社内ルールを設定することで、効果はさらに高まります。防音設備はあくまで“仕組み”であり、“使い方”次第で活きるのです。