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ホーム初期消火のカギ!オフィスに設置すべき消火器の選び方

初期消火のカギ!オフィスに設置すべき消火器の選び方

火災が発生した際、被害を最小限に抑えるために最も重要となるのが「初期消火」です。中でも、オフィスにおける消火器の設置と適切な選定は、従業員の安全と企業資産を守る大きな要となります。しかし、消火器には種類があり、用途や場所によって最適な製品は異なります。間違った選定は、いざという時に効果を発揮できない恐れも。本記事では、オフィスにふさわしい消火器の種類や選び方、設置のポイントについてわかりやすく解説します。

  • ・消火器の基本を知ろう
  • ・オフィスに適した消火器の種類
  • ・設置場所と本数の基準
  • ・管理・点検も重要な運用の一部
  • ・消火器選定時の注意点

消火器の基本を知ろう

消火器は「初期消火専用」

消火器は、小規模な火災の初期段階で使用する機器であり、大規模火災や炎が広がった状況では手に負えません。そのため「火が天井に届く前に使う」が目安となります。

消火器の基本構造と仕組み

一般的な消火器は、内部に消火剤と加圧ガスが入っており、レバーを引くことで噴射されます。製品によっては、加圧式と蓄圧式といった仕組みの違いもあり、メンテナンス性にも影響します。

オフィスに適した消火器の種類

粉末(ABC)消火器

もっとも一般的なタイプで、A(普通火災)・B(油火災)・C(電気火災)すべてに対応可能。価格も手頃で、広く使われています。紙や電気機器の多いオフィス環境には適した選択肢です。

強化液(中性)消火器

液体を噴霧して火を冷却しながら消火します。粉末に比べて後処理がしやすく、OA機器や精密機器の多い事務所には好まれます。ただし、冷凍庫など気温の低い場所では使用に制限があります。

二酸化炭素(CO₂)消火器

火源に酸素を供給しないことで鎮火させます。粉や液体を使わないため、機器にダメージを与えず、サーバールームなどに適しています。ただし密閉空間では窒息の危険があるため、注意が必要です。

設置場所と本数の基準

消防法で定められた設置義務

一定規模以上のオフィスには、消防法に基づいて消火器の設置が義務付けられています。具体的には、延床面積150㎡以上の建物で設置が必要とされ、用途や構造によって本数も変わります。

見える・すぐ使える場所に設置

消火器は視認性が高く、すぐに取り出せる場所に設置することが基本です。廊下や出入口の付近、OA機器周辺など、リスクの高いエリアに重点的に配置しましょう。

高さと表示にも注意

設置時は、床から1.5m以内の高さに取り付けることが推奨され、また「消火器設置標識」もあわせて掲示する必要があります。

管理・点検も重要な運用の一部

使用期限と交換時期

消火器には使用期限があり、一般的には製造から約10年が目安です。古い機種や破損したものは、定期的に交換する必要があります。

定期点検は半年ごとに

消防法により、消火器は6カ月に1度の目視点検が求められています。企業では、ビル管理者や防火管理者が定期点検の体制を整えておくことが不可欠です。

教育訓練で使い方を浸透

設置しているだけでは意味がありません。従業員が正しく使えるよう、年に1〜2回は実践的な訓練を行い、誰でも迅速に初期対応できるよう準備しておきましょう。

消火器選定時の注意点

粉末の清掃負担と誤噴射リスク

粉末消火器は価格や汎用性で優れていますが、誤って使った場合の清掃負担は大きくなります。精密機器が多い現場では、強化液やCO₂などの選択も検討すべきです。

消防署への相談も有効

自社のオフィスにどのタイプの消火器が最適か判断に迷う場合は、所轄の消防署に相談するのが確実です。レイアウトや業種に応じたアドバイスを受けることができます。


オフィスにおける消火器の設置は、火災発生時の被害を最小限に抑える「初期対応の要」です。正しい種類を選び、適切な場所に設置することで、従業員の安全と企業資産を守る備えが整います。設置後も定期的な点検や社員教育を行い、いざという時に迷わず対応できる環境づくりが重要です。消火器は単なる備品ではなく、オフィス全体の防火体制を支える「安全装置」として、積極的に見直しと運用を進めましょう。