ハイブリッドワークやテレワークの普及により、オンライン会議が日常化した現代のオフィス。会議室の一部や共用スペースを使いまわしていると、音の反響や周囲の雑音、背景の映り込みなどに悩まされる場面も多くなっています。そこで注目されているのが「オンライン会議専用スペース」の整備です。限られたスペースでも快適で機能的な環境を構築すれば、会議の質や業務効率が大きく向上します。本記事では、設計・設備・家具選びなど、オンライン会議専用スペースをつくるための実践ポイントをご紹介します。

遮音性と集中力を両立させるレイアウト設計

静音エリアの確保と動線分離

会議中のノイズは双方にストレスを与えるため、社内の騒音源（複合機、電話、執務スペース）から離れた場所に専用スペースを設けるのが理想です。人の往来が少ないエリアに配置することで、集中力と発言のしやすさが高まります。

パーティションや防音ブースの活用

全体的な改装が難しい場合は、防音パネルや簡易ブースを用いて空間を仕切る方法が効果的です。吸音素材を使用したパネルやハイバックチェアは、音漏れや反響を抑え、外部との音的な干渉を軽減します。

映りと音にこだわる設備選び

照明と背景の工夫で印象アップ

顔映りが暗いと、相手への印象もマイナスになりがちです。天井照明だけでなく、リングライトやデスクライトを取り入れて自然な明るさを演出しましょう。背景には無地の壁やロールスクリーンを設置すると、視覚的なノイズを防げます。

高品質マイク・スピーカーの導入

パソコン内蔵のマイクでは集音範囲が狭く、ノイズも拾いやすいため、外付けのマイク・スピーカーフォンを導入するのがおすすめです。複数人での会議が想定される場合は、360度集音タイプやエコーキャンセル機能付きの機器を選ぶとよいでしょう。

会議を支える家具と配線環境

適切なデスクとチェアで姿勢をキープ

オンライン会議は長時間に及ぶことも多いため、姿勢を崩さず快適に座れるチェア選びが重要です。調整機能のあるワークチェアや、奥行きのあるデスクを選べば、カメラ位置も安定し、表情が自然に映ります。

コンセント・LAN・USBの設置を忘れずに

機器トラブルを防ぐためにも、会議スペースには十分な電源と通信環境を整備しましょう。電源タップやUSBポート付きデスク、PoE対応のLAN接続など、配線計画もスペース設計の一部と捉える必要があります。

共有利用を想定した運用ルールと管理

予約システムで利用を効率化

複数人が使用する場合、オンライン予約システムや社内の利用表を設けて、スペースの使用状況を「見える化」することが大切です。これにより、ダブルブッキングや無駄な待機時間を防げます。

メンテナンスと消耗品の管理

使用頻度の高いスペースでは、マイクやカメラ、ケーブルなどの機器トラブルも想定されます。定期的なメンテナンスや備品管理を行い、常に最適な状態を保つことが、安心して使える会議環境づくりの基本です。