オフィスにおける「音」の問題は、業務の効率や社員のストレスに大きな影響を与えます。周囲の会話や電話の声、複合機の動作音など、日常的な騒音が集中を妨げていることも少なくありません。そこで注目されているのが、防音性能を備えた家具を活用したオフィスリノベーションです。壁や天井を大きく改修することなく、家具によって手軽に静音環境を整えることが可能です。本記事では、防音家具の種類や導入メリット、レイアウトの工夫など、実践的な静音化リノベーションのポイントを紹介します。

防音家具とは？その仕組みと特徴

吸音・遮音の役割を果たす構造

防音家具とは、音を吸収したり、通さないようにする素材や構造を持つ家具のことです。主にフェルト、ウレタン、吸音パネル材などを内部に備えたパーティションやボックス型チェア、ブースなどが該当します。これらは音の反響を抑えることで、周囲への音漏れや外部音の侵入を軽減します。

空間に溶け込むデザイン性も魅力

以前は無機質な見た目の製品が多かった防音家具も、現在ではインテリア性に優れたアイテムが多数登場しています。木目調やファブリック素材などを用いた製品は、視覚的にも温かみのある印象を与え、オフィス全体の雰囲気も向上します。

空間を区切るパーティションの活用

吸音機能付きパネルで半個室をつくる

防音パーティションは、空間を仕切るだけでなく、音の伝播を抑える効果があります。高さ140〜180cm程度のパネルをL字またはコの字に配置することで、視線と音を遮る集中エリアをつくることが可能です。特に、会話や電話の多い部署では効果が大きく表れます。

移動・再配置可能なモバイルタイプも便利

キャスター付きの可動式パーティションであれば、必要なときだけ使用し、不要時には収納することもできます。プロジェクトや時期によって柔軟に使い分けられるため、限られたスペースでも効果的に活用できます。

静音効果のある家具の選び方

吸音チェアや防音ブースの導入

ハイバックタイプの吸音チェアや、1人用のワークブースは、音の反響を抑えながら集中空間をつくる優れた選択肢です。特にハイブリッドワークが主流の現在では、オンライン会議にも対応できるこうした家具が重宝されます。

書庫や棚も“音を遮る壁”として活用

意外に見落とされがちですが、収納棚やキャビネットも配置によって防音効果を発揮します。例えば、会話の多いスペースと静かなエリアの間に背の高い収納を配置することで、音の広がりを抑える効果が得られます。

レイアウトと素材で“音の流れ”をコントロール

吸音素材の壁面パネルやカーペットで補完

家具だけでなく、床や壁に吸音効果のある素材を用いることで、全体の静音性がさらに向上します。カーペット敷きの床材や、ファブリック仕上げの壁面パネルは、音の反射を防ぎ、オフィスに適度な落ち着きをもたらします。

音の発生源を意識した配置設計

複合機や電話機の近くに吸音パネルを配置したり、音の発生が多い部署と静かな作業エリアを分離したゾーニングを行うなど、音の“流れ”を読むことも重要です。家具の配置だけでも、騒音レベルを大幅に下げることが可能です。