新しい社員を迎えることになり、まずはデスクと椅子を探す。増員時によくある流れですが、家具を足した後で「書庫が開けにくい」「会議のたびに椅子を動かしている」と気づくことがあります。座席は増えても、オフィス全体の使い勝手がよくなるとは限りません。
中古オフィス家具は、予算を抑えながら必要な家具を補う選択肢です。ただし、安く購入できる家具から配置を決めると、寸法の不ぞろいや在庫不足に振り回されかねません。先に考えたいのは、今の家具をどう使い、どこに余地をつくるかということ。
この記事では、12人から16人へ増員するオフィスを例に、通路・収納・会議スペースの見直し、中古と新品の比較、買い替えを抑える組み合わせ方を紹介します。例は考え方を示すための仮想ケースです。自社の働き方と図面に置き換えながら、次の増員にも備える配置を考えていきましょう。
- ・増員前に見直したい通路・収納・会議スペース
- ・中古家具と新品家具の比較と既存家具の活用
- ・将来の増員に備える配置と納品後の安全確認
デスクを買う前に、「何人が、どう使うか」を決める
1-1.社員数だけで、必要な席数を決めない
12人の会社に4人が入社するなら、単純には4席が必要です。しかし、全員が毎日出社する会社と、外勤や在宅勤務が多い会社では、席の使われ方が異なります。
確認したいのは、平均的な出社人数に加えて、全社会議や研修の日に何人が同時に仕事をするか。固定席が必要な職種、共有席でも仕事ができる職種、来客対応の頻度まで整理すると、席数と配置の条件が見えてきます。
平均出社率だけを使って席を減らすと、出社が重なった日に不足します。反対に、使われない固定席を増やせば、収納や打ち合わせの場所が圧迫されます。先に決めるべきなのは家具の台数ではなく、仕事をする場所の使い方です。
1-2.「狭い」の中身を、社員の動きから探す
午前中は複合機の前で人がすれ違いにくい。書類を取り出すたびに、隣の社員が椅子を引く。二人で相談したいだけなのに、六人用の会議室を使っている。こうした場面には、見直しの手掛かりがあります。
数日間、よく使う通路と人が立ち止まる場所を観察してみてください。混雑するのは面積不足のためか、家具の位置が悪いのか、収納の使い方に原因があるのか。社員への短い聞き取りも役立ちます。
「あと4台入るか」だけを検討するより、「4人増えても、今ある不便を大きくしない配置は何か」と考えた方が、購入する家具を絞りやすくなります。
通路・収納・会議スペースから、増員の余地をつくる
2-1.通路は、着席中と収納利用中の状態で測る
空のデスク間に人が通れたとしても、椅子を引いた状態では十分な幅が残らないことがあります。収納の扉を開く、複合機の用紙を補充する、台車で荷物を運ぶといった動作も含めて寸法を考えます。
コクヨマーケティングの寸法計画でも、座席の背後が主な通路かどうか、収納の前面か背面かによって、推奨する寸法が分けられています。家具の外形だけでなく、人が使うための範囲を確保するという考え方です。
図面には机と椅子に加え、扉・引き出しが動く範囲を入れましょう。必要な通路幅は用途や建物の条件で異なるため、一つの数値をすべての場所に当てはめることはできません。避難口や防火戸の周囲も、家具を置ける余白とは分けて扱います。
2-2.収納を増やす前に、中身と取り出し方を見直す
仮に、12人のオフィスに低い書庫が4台あり、そのうち1台が空のファイルや使わない備品で埋まっていたとします。中身を整理できれば、書庫を1台減らし、そこを新しい座席の候補にできるかもしれません。
ただし、保管期限のある書類や原本が必要な資料まで、席を増やすために処分するのは本末転倒です。よく使うもの、保管が必要だが使用頻度の低いもの、不要と判断できるものを分け、取り出しやすさも考えます。
足元のワゴンがほぼ空なら、共用収納への集約も検討できます。一方、個人情報を扱う仕事では施錠できる収納が必要になる場合もあります。収納量を減らすこと自体を目標にせず、必要な物を必要な場所へ移す。その結果として空間を取り戻す順番です。
2-3.大きな会議テーブルを、使い方に合わせて組み替える
六人用テーブルを日常的には二人でしか使っていないなら、そこにも見直しの余地があります。会議の人数と頻度を調べ、小さな打ち合わせ席と、必要なときに使う会議スペースへ分ける方法を考えてみましょう。
可動式テーブルを組み合わせる案なら、少人数の相談と研修で配置を変えられます。ただし、テーブルを移動させる場所や、使わない椅子の保管場所も必要です。「動かせる家具を買ったのに、移動先がない」という状態は避けたいところ。
また、Web会議は音への配慮が欠かせません。会議スペースを小さくして執務席のすぐ隣へ移すと、話し声が新たな不満になります。人数だけでなく、会話の用途まで見て配置を決めます。
中古と新品は、価格以外の条件もそろえて比較する
3-1.比較するのは「商品代」より「使い始めるまでの総額」
中古家具は購入費を抑えられる場合がありますが、配送・搬入・組立て・固定の費用まで含めると、想定との差が出ることがあります。複数店舗から取り寄せる、階段で搬入する、休日に納品するなど、条件によって費用は変わります。
販売店の案内でも、重量物の送料は配送距離や重量などで異なるとされています。表示価格だけで新品と比較すると、配送条件の違いを見落としかねません。
見積もりは、既存家具の移動、不要家具の搬出、配線作業も含め、同じ範囲でそろえるのが基本です。中古を選ぶことで浮いた予算を、椅子の状態改善や配線整理に回せるなら、オフィス全体の使い勝手に結びつきます。
3-2.状態・寸法・数量・納期を、同じ表で見る
新品と中古のどちらがよいかは、今回の増員で何を優先するかによって変わります。寸法を細かく指定したいのか、既存と同じシリーズを探すのか、入社日までに必要なのか。判断の軸を先に決めると、候補を比較しやすくなります。
| 比較項目 | 中古家具で確認したいこと | 新品家具で確認したいこと |
|---|---|---|
| 価格 | 状態・付属品・配送条件を含む総額 | オプション・組立て・配送を含む総額 |
| 状態 | 傷、汚れ、動作、補修、欠品 | 仕様、調整機能、展示品等との区別 |
| 寸法 | 実物の外形、脚、配線部材との適合 | 選べるサイズと納まり |
| 数量 | 同型・同色で確保できる実在庫 | 必要数の供給と将来の追加購入 |
| 納期 | 在庫確保から整備・配送までの日程 | 在庫品か受注生産か、製造・配送日程 |
| 購入後 | 販売店保証、修理、返品条件 | 保証条件、部品供給、保守対応 |
中古品の状態ランクは、販売店ごとに評価方法が異なります。「Aランクだから新品同様」と読み替えず、ランクの説明と対象商品の写真を確認してください。
3-3.在庫があることと、必要な日に届くことは別
中古家具で気に入った机が見つかっても、4台必要なのに同じ仕様が2台しかないことがあります。複数拠点に在庫が分かれている場合は、集約や整備の時間も考える必要があります。
「在庫あり」は、希望する納品日の確約とは違います。支払い、商品確保、清掃・点検、配送手配まで含めて、設置完了日を販売店と確認しましょう。新品も在庫品なら早く用意できる場合があり、中古の方が必ず短納期とは言えません。
増員日が決まっているときは、寸法や必要機能は守りつつ、色やシリーズには代替候補を持たせると調達しやすくなります。ただし、予定の家具が確保できる前に、それを前提として既存家具を撤去するのは早計です。
中古家具は、種類ごとに見る場所を変える
4-1.デスクは、天板より脚まわりと配線に目を向ける
商品写真では天板の傷に目が向きがちですが、仕事で使うときは、脚のぐらつき、固定部の状態、足元の広さが重要です。中央の脚や補強材がワゴンに当たらないか、椅子を収めたときに窮屈にならないかも確かめます。
たとえば、幅1,200mm・奥行700mmという外形が同じでも、引き出しや脚の形が違えば、足元の使える範囲は変わります。既存デスクと並べるなら、高さと配線口の位置も確認したいところです。
配線トレーや天板下のカバーが付属するか、必要な連結部材がそろうかによって、追加費用と作業量が変わります。見た目の近さより、普段使うパソコンや周辺機器を無理なく置けるかを優先します。
4-2.椅子は、座って動かしてから判断する
椅子は、同じ型番でも使われ方によって状態に差が出ます。座面のへたり、背もたれのぐらつき、昇降やリクライニングの動作、肘掛けの調整、キャスターの状態を一つずつ試します。
実物を見られるなら、座面を上げ下げし、体重をかけて背もたれを動かしてみてください。高さが保持されない、異音がする、調整が効かないものは、販売店へ状態と修理対応を確認する必要があります。
JOIFAは、椅子の寿命が使用頻度や環境によって異なること、ぐらつきなどがある場合には点検やメンテナンスを検討することを案内しています。中古の高級モデルでも、状態が悪ければ快適とは限りません。試座と動作確認は、省きたくない工程です。
4-3.収納は、鍵・棚板・連結部材まで確認する
収納家具では、扉や引き出しが滑らかに動くか、鍵が付属するか、必要な棚板がそろっているかを確認します。書庫を買った後で棚板を追加しようとしても、対応する部品が手配できるとは限りません。
上下に積む収納や横に連結する収納は、指定された組み合わせと部材を確認します。サイズが似ている別製品を、判断だけで積み重ねるのは避けましょう。
購入前の確認メモには、次のように具体的に書いておくと、販売店への質問がぶれません。
- デスク: 脚の固定、ぐらつき、配線部材、ワゴンとの干渉
- 椅子: 昇降、背もたれ、座面、肘掛け、キャスター
- 収納: 鍵、棚板、扉・引き出し、連結や固定に必要な部材
- 共通: 型番、製造年表示、整備内容、保証と不具合時の対応
既存家具と組み合わせて、買い替えを抑える
5-1.「残す・移す・整備する・追加する」に分ける
増員を機に全部そろえ直すと、まだ使える家具まで交換することになります。まずは現在の家具について、寸法、数量、状態、使っている部署を一覧にします。
12人から16人になる例なら、既存デスク12台が業務に合い、安全に使える状態であれば、追加候補は4台です。会議テーブルや収納は、移動や中身の整理で使い続けられるかを先に検討します。
| 家具の扱い | 判断の例 | 次に行うこと |
|---|---|---|
| 残す | 仕事に合い、状態も問題ない | 新しい配置に組み込む |
| 移す | 現在の場所で使いにくい | 移動先の寸法と用途を確かめる |
| 整備する | 適切な修理で継続使用できる | 修理可否・費用・部品を確認する |
| 追加する | 必要数や機能が不足している | 新品・中古を同じ条件で比較する |
| 手放す | 用途がなく再配置も難しい | 再利用・買取等の可否を相談する |
傷があることと、安全に使えないことは別です。逆に、外観がきれいでも動作や構造に問題があれば、継続使用を優先すべきではありません。
5-2.全部同じにせず、そろえる条件を決める
既存家具と同じ型番を探せれば整えやすいものの、中古市場で必要数が見つかる保証はありません。そこで、同じ列に並べる机は高さ・奥行き・天板色を合わせるなど、見た目と使い勝手に関わる条件を絞ります。
別シリーズを無理につなげるより、同じ寸法の机を一つの島にまとめ、別の島として配置する方が納まりやすい場合もあります。天板の色が違う机は、執務用と打ち合わせ用に用途を分ければ、違いを活かせることもあるでしょう。
ただし、異なるメーカーやシリーズの部材が、そのまま連結できるとは限りません。連結を前提にせず、製品ごとの設置方法を確認します。統一感は、家具の型番だけでなく、配置や色のまとまりからも生まれます。
次の増員にも対応できる配置をつくる
6-1.島を伸ばせる場所と、動かさない通路を決める
向かい合わせに机を並べる島型配置は、チームをまとめやすい方法の一つです。ただし、島の端を伸ばすたびに主な通路へはみ出すなら、増員には対応しにくい配置となります。
今の16席を描いた後、18席になった場合も試してみましょう。どの島に2席を足すのか、そのとき収納や会議席をどう動かすのか。二つの図面を比べると、先に確保しておく場所が見えてきます。
将来用の机を大量に買って保管する必要はありません。追加する机の寸法を決め、増やす場所と通路の関係を整理しておけば、異なるシリーズでも選びやすくなります。余白は「何も置いていない場所」ではなく、使い道を決めた場所として残します。
6-2.フリーアドレスは、席を減らす前に小さく試す
外勤や在宅勤務が多い部署なら、共有席を取り入れる方法もあります。ただし、フリーアドレスは机を大きなテーブルに交換すれば成立する仕組みではありません。
私物や書類の置き場所、席の予約、モニター接続、終業時の片付けを決める必要があります。固定席でないことが仕事の支障になる人もいるため、一部の部署や数席から試す方が進めやすいでしょう。
仮想ケースでは、営業担当の共有席を設ける案と、全員分の固定席を確保する案を比較できます。出社が集中する日に足りるか、研修の場所を確保できるかを確かめ、運用が回る方を選びます。空いた席数だけを成果にしないことが肝心です。
6-3.電源と配線を、家具と一緒に計画する
机が収まっても、電源が届かなければ仕事は始められません。延長コードで通路を横切らせるような配置では、足を引っ掛けたり、席替えのたびに配線を引き直したりすることになります。
既存の床コンセントや情報配線の位置を図面へ入れ、追加するパソコン、モニター、充電機器の数を確認します。必要な容量や工事の範囲は、電気工事の担当者に相談してください。
配線を収める場所がある机でも、その部材が中古品に付属するとは限りません。納品後に足りないことが判明すると、開梱した家具の間で作業が止まります。家具を決める段階で、電源から機器までの経路を一本つなげておきます。
再利用は、廃棄削減と長く使う計画をセットにする
7-1.中古を買う前に、今ある家具を活かす
近年、資源循環の観点から、製品を長く使う取り組みが重視されています。環境省も、リユースは製品の使用期間を延ばし、廃棄物の発生抑制や製造・廃棄時の環境負荷の回避につながると説明しています。
オフィスでは、中古家具を購入することに加え、既存家具の再配置、適切な修理、別部署への移設も再利用の方法です。「中古を取り入れたので環境に配慮できた」と購入時点で終わらせず、買い替えの必要自体を減らすことも考えたいところ。
たとえば、まだ使える会議テーブルを別室へ移せるなら、新しいテーブルの購入と旧テーブルの処分を同時に減らせます。具体的な廃棄削減量やCO?削減量は条件によって変わるため、算定の根拠なしに一定の割合で示すことはできません。
7-2.不要家具は、搬出前に再利用の相談をする
使わなくなる書庫や机は、解体・搬出する前に、社内転用や買取、再利用として引き渡せるかを検討します。環境省も、オフィス家具などのリユースに関する事業者向けの手引きを公開しています。
相談時には、メーカー・型番、数量、寸法、写真、傷や不具合、搬出期限をまとめます。状態がよくても、需要、数量、搬出条件によって買取できない場合があるため、処分費が必ず相殺されるとは考えない方がよいでしょう。
社名ラベルや保管物を取り除き、再利用が難しいものは材質や排出条件に応じた適切な処理を依頼します。買取・再利用と廃棄物の処理は同じ手続きではないため、どの扱いで引き渡すのかも確認しておきます。
納品・安全確認・使い始めてからの調整まで進める
8-1.搬入経路と設置方法を、注文前に確かめる
大きな会議テーブルや収納は、室内に置ける寸法でも、エレベーターや入口を通れないことがあります。廊下の曲がり角、扉の幅と高さ、荷物用エレベーターの寸法を、配送担当者と共有します。
分解して搬入できるか、再組立てを誰が行うか、ビル指定の搬入時間と養生の条件も注文前の確認事項です。既存家具の移動と新しい家具の搬入が重なるなら、作業順序を決め、社員の作業場所を確保しておくと混乱を抑えられます。
背の高い収納の固定は、壁や床の仕様によって方法が変わります。JOIFAも、家具の配置を工夫したうえで固定を行い、固定方法は専門家へ相談するよう案内しています。新品・中古を問わず、並べ終わった後の安全確認までが設置作業です。
8-2.「中古だから仕方ない」で不具合を放置しない
納品時は、注文した数量・仕様と一致するか、事前説明との相違がないか、破損や欠品がないかを確認します。椅子の昇降や収納の鍵など、仕事を始める前に試せる動作は、その場で確かめておくと連絡がスムーズです。
製造年や使用期間の確認も役立ちます。JOIFAの標準使用期間は、新品・中古を問わず経年劣化に注意を向けるための目安で、保証期間や「その年数まで必ず安全」という意味ではありません。中古として購入した日から年数を数え直すものでもない点は、押さえておきたいところです。
使い始めた後は、通路で待つ場面が増えていないか、会議席が足りるか、配線や収納が使いにくくないかを社員に聞いてみましょう。机の向きや収納の位置を調整するだけで改善できることもあります。
増員への対応で大切なのは、安い家具を必要人数分そろえることだけではありません。今ある家具を活かし、人が動く余地を残し、不足する分を用途に合わせて補う。中古と新品をそのための選択肢として使い分けることが、予算を抑えながら長く使いやすいオフィスをつくる近道です。




